ガソリンスタンド "152円"でも客が来ない理由

相次ぐ原油の高騰や省エネ車の普及によって、混乱を極めるガソリンスタンド(GS)業界。一服気味の市況をうけて今月はじめから値下げに踏み切ったが、このところの乱売合戦は異様ですらある。

 千葉県柏から、茨城、栃木を経て福島県会津を結ぶ国道294号線。国道4号線のウラ街道として、プロドライバーや観光客らがよく利用する道路だ。この道路沿いに11日、JA系列の大型スタンドがオープンした。場所は茨城県筑西市内、以前からここを本拠とするGS業界大手のテリトリーだったが、どうやら様相は一変しそうだ。なんせ新設GSの北わずか30mの反対側には地場業者のP社GSがあり、また、南100mにはその大手S社のGSが全面改装中だからだ。

 乱売合戦を際立たせるのが安値販売であり、設備の優劣であり、宣伝合戦だ。JAのGSではオープンに際しなんと新聞広告を出した。これはGS業界では異例のことだ。通常はオリコミで済ましてしまうケースが多かったから、ひときわ目を引いたのだ。もちろんプレスリリースは怠りなかったし、ど派手なオリコミには超安値を予告。「来場してのオタノシミ」となかなかの商売上手だ。

 当日の看板価格は155円、立派な安値だ。現金会員にはさらに2円安、つまり153円。メンバー制といっても、その場でなれる上、入会金も年会費も無料だ。優遇措置を受けている沖縄県の145円前後にはおくれをとるが、恐らくは全国一の安値かと喜んだのもつかの間。なんと最寄りP社は152円看板。同社の他のGSでは163円だったから、早速新設GSに対抗したらしい。利益がでるハズがなかろうが、破格値GSにはクルマの一台も見えない。設備が古いからだろう。

 11月早々にオープンするS社では、いくらで販売するのかタノシミだが、同社は業界団体の会長会社。どこまで安値で対抗するのか気になるところ。セルフに改装して人件費を抑えたいが、設備費の償却はフルサービスのGSよりもハイコストになる。同業に負けじと打ち出す広告宣伝費もバカにならない。省エネ車はもやや常識の上、石油販売以外の分野での成功例は少ない典型的な構造不況業種。カネをかけてカネを吐き出す商法など長続きはしまい。

 さてさて、どこへ行くのかGS業界。消費者サイドでは、バスやトラックから漁業家にいたるまで、休業だ、陳情だ、決起大会だなど価額問題には敏感だ。値下げ合戦もけっこうだが、そのワリには先を見据えた切迫感がGS業界にないと見るのは杞憂か。値下げ合戦のツケは、いずれ消費者に転換されるだけだ。

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